~ 羊飼いの糸 ~

私たち人は
1万年前も昔から、
羊と共に暮らしてきました。
しかし近年、
技術や流通が進歩し、
羊たちを牧場に集約することで、
私たちの生活圏内から
遠い存在になってしまいました。
普段私たちが使用している羊毛は、
遠い異国の地から送られてきたものです。
とても品質が良く、美しい羊毛が
比較的安価で大量に入手出来るようになりました。
そんな私たちは、
羊から様々な恩恵を受けている一方で
大量生産、大量廃棄を今尚続けています。
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ファストファッションが主流となり、
私たちは大切な何かを失ってしまいました。
ウールは“一生もの”
そうです。
ウールは私たちと一生を共にする
大切な存在でした。
羊が身近からいなくなり
その存在を忘れてしまった私たちへ
“羊飼いの糸”
それは、
ブランド名ではなく
新しい“糸の概念”として
私たちは取り組んで参ります。
~ 名前のある糸 ~

私たちが紡ぐ糸には
それぞれに名前があります。
ブランドや
品種名ではありません。
羊の名前です。
羊飼いが1頭1頭名前を付け、
大切に育て上げた羊たち。
それを私たちが1本1本大切に、
全て手作業で紡ぎ上げました。
同じ糸はありません。
全てがオリジナルの糸です。
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羊は同じ品種であっても
食べる餌や気候など、
育った環境によって
毛質が大きく変わります。
更には
子供の時と、大人の時と比べても
その違いに驚きます。
“今年はしっかりとした丈夫な毛だね”
“お母さん譲りで柔らかいね”
“来年も楽しみにしてるよ”
羊飼いの糸を使う方たちは
羊に対して話しかけるような
そんな素敵な言葉を聞かせてくれます。
~ 会いに行ける糸 ~

日本には今、
約2万頭の羊たちが暮らしていますが、
その殆どは北海道や、人里離れた
山奥で飼われていることが多いです。
でも、
意外と私たちの直ぐそばにも
羊たちはいます。
動物園や観光牧場といった場所です。
私たちが取り組むこの羊飼いの糸は、
“会える距離にいること”がとても重要です。
愛知県日進市 愛知牧場
岐阜県関市 ひつじの里
お近くの方はぜひ、
羊さんの顔と名前を憶えて
会いに行ってみて下さい。
きっと、その糸からも
羊たちの存在を感じるようになります。

カバードウール
市場には出回らない 特別な羊たち
一部の羊飼いたちは、
自宅の庭でも羊を飼育しています。
自分たちが使うための“特別な羊”です。
その羊にはカバー(服)が掛かっており、
羊毛が汚れないように
大切に育てられています。
羊毛には本来、
ラノリンという脂分が含まれていますが、
羊毛に付いたゴミや汚れを洗い落とす度に、
洗剤など使うことで流れ落ちてしまいます。
そして
洗えば洗うほどにダメージが加わるため、
羊毛本来の良さも失ってしまうのです。
その点カバーを着た羊毛には、
ゴミや汚れが付かないため、
洗う工程を最小限に減らせます。
羊が常に身に着けている羊毛は、
厳しい自然の環境から身を守るために
生み出された完璧な素材です。
その性能を落とすことなく、
そのままの状態で紡ぐことが出来るのも、
羊飼いの糸の、魅力のひとつです。
~ 羊からはじまる 糸の物語 ~
私たちが紡ぐ糸は、
羊を育てるところから始まります。
紡がれた糸からは、
その羊が過ごしてきた記憶や
個性を感じることが出来るように、
全ての工程を ひとつひとつ
丁寧に 手作業で行っております。
全てがオリジナルであり、
同じ糸は生まれません。
直接 手で触れて 確かめてみて下さい。
自分に合った
特別な羊と 出会えるかもしれません。